ピロリ菌とは
正式にはヘリコバクター・ピロリという名の細菌で、人の胃粘膜に生息します。この菌に感染すると胃粘膜に炎症を起こし、徐々に慢性萎縮性胃炎が進行し、胃がんの発生リスクになります。70才以上の日本人の70%の方が感染していますが、若い方は少なく、60才以下の方は10~20%くらいと言われています。
ピロリ菌の診断方法
胃内視鏡時に組織を一部取って検査する方法(病理検査、培養検査など)、と内視鏡を用いない方法(抗体検査、呼気テスト、便検査など)があります。当院では主に採血での抗体検査と尿素呼気テストを行っています。尿素呼気テストは吐く息を取るだけの簡単な検査で、感度が最も良く、ピロリ菌除菌後の判定はこの検査を行います。
ピロリ菌の治療
抗生物質2種類と胃酸を抑える薬を1週間内服します。1回目の治療でピロリ菌が完全に除菌できるのは約90%で、不成功の場合には抗生物質を別のものに取りかえてもう一度行います。2回目の治療では約95%以上の方が除菌できます。
ピロリ菌外来のご案内
胃粘膜へのピロリ菌の感染により慢性萎縮性胃炎が進行し、胃がんの発生リスクが高まる事がわかっています。
そこで、当院では積極的にピロリ菌の検査を行い、陽性の場合は除菌 治療を勧めています。ピロリ菌の検査を受けたことがなく心配な方、健診などでピロリ菌がいると言われた方などを対象に診療を行っていますので、気軽に相談に受診してください。
.
ピロリ菌の検査について
1.今まで胃の検査もピロリ菌の検査も受けたことのない方
先にピロリ菌の検査を行う場合と、胃内視鏡検査を受ける場合があります。
40才以上の方、40才未満でも胃の症状がある方は内視鏡検査を受けられることをお勧めしますが、検査に 抵抗のある方はピロリ菌の検査が先も可能です。
(1)内視鏡検査を受けずにピロリ菌検査を行う場合
この場合は健康保険が使えないので、自費検査になります。40才未満の方はピロリ菌抗体検査(採血検査で2,500円)、40才以上の方はABC検診(採血検査で4,000円)になります。 もし陽性の結果であれば、保険を使って内視鏡の検査を受けて、その後除菌治療を行います。
(2)内視鏡検査を受ける場合
健康保険を使用して内視鏡検査を行います。内視鏡所見で胃粘膜に萎縮が認められる場合はピロリ菌の検査を行います。この場合は保険で尿素呼気テストを行い、陽性が確認された場合は除菌治療を行います。
2.健診などでピロリ菌陽性を指摘されたが、胃内視鏡検査は受けていない場合
この場合はまず内視鏡検査を受けていただき、胃粘膜の状態を観察し、胃がんがまだ発生していないことを確認してから、除菌治療を行います。
3.健診などでピロリ菌陽性を指摘され、6ヶ月以内に胃内視鏡検査を受けられている場合
この場合はすぐに保険診療で除菌治療が可能です。受診していただければ、当日に除菌薬を処方致します。
4.健診などで胃内視鏡検査を受け、萎縮性胃炎と診断された場合
内視鏡検査を受けてから6ヶ月以内の場合は、保険診療でピロリ菌の検査が出来ますので、検査で陽性を確認してから除菌治療を行います。